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Mission

既存建物のZEB化を「経営のチャンス」に変える。~投資対効果の壁を突破する、戦略的リノベーションへのアプローチ~

2026年03月31日

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、建物分野の脱炭素化は喫緊の課題です。新築のZEB化が進む一方で、既存建物の省エネ化は投資対効果の壁により停滞しています。NTTファシリティーズは、企画・設計から運用・維持管理までを一貫して担うワンストップの強みを活かし「ライフサイクル視点」「ICT・AI活用」「NEBs:ウェルネスなどの副次的・複合的ベネフィット」という3つアプローチを軸に既存建物のZEB化に取り組んでいます。具体的には、改修機会を活かして建物機能・性能を最大化する「ZEBリノベーション」と、ICT技術の活用によって運用効率を高める「ZEBオペレーション」を相互に連動させ、既存建物の価値向上を図る「FACILITIES ZEB」として推進しています。

カーボンニュートラル実現の鍵は「既存建物の再生」にあり

わが国が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現において、国内の温室効果ガス排出量の約4割を占める建設分野の脱炭素化は避けて通れない課題です。新築建物のZEB(Net Zero Energy Building)化が着実に進む一方で、既存建物の省エネ性能向上は大きく遅れているのが実態です。

背景には、既存建物特有の根深い課題があります。昨今の資材高騰や人件費上昇を受け、建て替えに代わる「リノベーション」への関心は高まっているものの、投資対効果(ROI)が見えにくく、コスト面での最終判断に至らないケースが少なくありません。

また、「2050年カーボンニュートラル」という長期目標に対し、企業においては緊急度が低いと認識され、他人事として捉えられがちです。その結果、太陽光パネルの設置やグリーン電力の購入など、目に見えやすい短期的な選択肢が優先されやすい状況にあります。

しかし、既存建物のZEB化を成功させるには、こうした「単発の対策」や「コストの議論」を超え、建物の一生を見据えた長期的な戦略が不可欠です。

NTTファシリティーズでは、日本の通信インフラを長年支えてきた維持管理の実績や、設計から運用までを一貫して担う組織体制を強みとして、単なる改修ではない「建物のライフサイクル全体を見据えた戦略的ZEB化」を推進。お客様の脱炭素への取り組みを支援しています。

ライフサイクルを通じてICTを活用し、NEBsによる意思決定支援でZEBを実現するNTTファシリティーズのFACILITIES ZEB(F-ZEB)

「使い続ける」ことが最大の環境貢献:段階的ZEB化の戦略

私たちが提唱する「FACILITIES ZEB」の本質は、単なる建物の改修にとどまりません。それは、建物を使い続ける全期間にわたって価値を最大化させる長期的な取り組みです。

このアプローチにおいて重要なのが、ライフサイクル視点での段階的なZEB化の推進です。一度に大規模な投資を行うのではなく、中長期的な整備計画に環境価値を組み込み、設備更改のタイミングに合わせて徐々に環境性能を向上させていきます。これにより、コストの平準化が可能となり、投資に伴うリスクや経済的・心理的なハードルを下げることができます。

段階的なZEB化改修『ZEBリノベーション』+運用段階のモニタリングと改善『ZEBオペレーション』で省エネ投資を「点」ではなく「線」で計画する

また、既存の建物を「大切に使い続ける」視点も欠かせません。この手法は、建て替え時に発生する莫大なCO2排出(エンボディド・カーボン)を抑制する、有効な環境施策となります。

実際、当社のアセットの中には、旧電電公社時代から維持管理し続けている建物が数多く存在します。適切な設備更改を重ねた結果、ZEBに対する特別な取り組みを実施しなくとも、ZEB基準に迫る高い環境性能を実現しているアセットも少なくありません。こうした「大切に使い続ける」という豊富な知見と経験の蓄積が、当社のFACILITIES ZEBの基盤となっています。

一方、現行のZEB評価制度は、BEI(建物エネルギー性能指標)0.5以下、つまりエネルギー消費量を基準の半分以下にすることを求めています。しかし、この評価は主に設計・建設段階に重点が置かれており、実際の運用段階でのエネルギー低減は十分に評価されていません。

NTTファシリティーズは、この運用段階の省エネ活動も価値として示していく必要があると考えています。維持管理と設計の両組織が一体となっている強みを活かし、実際の運用データを緻密に分析して改修設計へとフィードバックする。この一貫したサイクルでサービスを提供できる点こそが、当社の大きな強みと特徴となっています。

ICTの活用で、運用段階のZEB化を加速させる

ZEB化の実効性を高める鍵は、運用段階におけるICT・AI技術の活用にあります。建物は時間とともに劣化するものですが、ICTを導入して「スマートビル」へと進化させることで、経年劣化を抑制するだけでなく、建物そのものを運用しながら価値を高めることが可能です。

運用段階のZEBを推進するためのICT活用

既存建物のスマート化において、最大の障壁となるのが「エネルギー使用状況の把握」です。多くの既存建物にはBAS(ビルオートメーションシステム)やBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)が導入されておらず、データ取得そのものが課題となっています。さらに、仮にデータが蓄積されていたとしても、そのデータが十分に活用されていないという課題もあります。

こうした課題に対し、NTTファシリティーズは、既存建物でも後付けが容易なエネルギー測定システムを開発・提供しています。必要な機能を柔軟に追加できる設計により、低コスト化に取り組んでいます。

このようにしてデータを蓄積・分析することで、AI空調による最適な温度環境の実現や、設備のダウンサイジングが可能になります。新築設計時には、快適性を担保するために設備がオーバースペックになりがちです。しかし、実際の運用データを分析することで、過剰な能力を削ぎ落した最適なスペックを実現することが可能です。このアプローチにより、ビルの「空調」に関わるエネルギー消費量を2〜3割削減することも決して不可能ではありません。

また、照明分野ではすでにLED化や人感センサー・昼光制御の導入が進んでいますが、こうした領域においてもライフサイクル視点から環境向上を図ることが可能です。

さらに、カメラやセンサーによる設備異常の早期発見、シミュレーション技術による設計精度の向上など、ICTの活用範囲は多岐にわたります。当社ではこれらを統合したサービスも展開し、建物の長寿命化と省エネ化を同時に実現する取り組みを進めています。

投資の「価値」を再定義する新指標「NEBs」

ZEB化を検討する際、多くの企業が直面するのが「投資対効果(ROI)の可視化」という壁です。光熱費の削減分だけで投資コストを回収しようとすると長期間を要するケースが多く、これが既存建物の改修に踏み切れない大きな要因となっています。

こうした課題を突破するアプローチとして注目されているのが、「NEBs(Non-Energy Benefits)」です。これは、当社とデロイト トーマツが共同開発した、省エネ以外の付加価値(健康増進、生産性向上など)を12の指標で定量化・評価する仕組みです。

脱炭素への取り組みを「人的資本経営」の一環として再定義することで、環境対策を単なるコストではなく、企業の成長を支える資産への投資へと転換。これにより、企業内での合意形成と脱炭素化を力強く後押しします。

NEBsでは、健康増進、知的生産性向上、メンテナンス費削減、BCP、人材確保・定着、社内意識向上、資金調達、広告宣伝、不動産価値向上など12の指標を設定し、それぞれがもたらす経済的なインパクトを算出します。

省エネ建築物がもたらすビルオーナー及びステークホルダーのNEBs

例えば、オフィス環境の改善による「知的生産性の向上」を具体的な収益貢献として試算したり、良好な職場環境がもたらす「出社率や採用率の向上」「社内コミュニケーションの活性化」を評価したりすることで、最終的な企業価値の底上げを可視化します。

実際、ダイダン株式会社様、アーバンネット仙台中央ビルなど、複数のプロジェクトにおいて、NEBsによる評価を実施しています。実施後のヒアリングでは、算出された評価結果と現場の利用者の実感が高い精度で一致することが確認されています。

建物改修の契機は、必ずしも脱炭素だけではありません。働き方の変化への対応や老朽化に伴う維持更新も重要なタイミングです。こうした機会に環境性能の向上を同時に組み込むことで、複合的な価値を生み出すことが可能です。NEBsによるウェルネスベネフィットの可視化は、こうした経営判断をサポートするための重要なツールとなります。

【まとめ】サステナブルな未来をめざして

NTTファシリティーズは、Our Purposeの中でValueとして掲げている「つくり、まもり、たかめる」という姿勢のもと、環境価値、働き方、BCPなど、建物で実現すべき価値を統合的に、かつライフサイクル視点で継続的に提供することをめざしています。

私たちが提唱するGX(グリーントランスフォーメーション)は、単なる省エネ活動ではありません。中長期的な視点で投資を最適化するライフサイクルZEB、建物を運用しながらの価値向上を実現するICTの活用、そして、働く人のウェルネスを経済価値に変えるNEBs。これらを通じて、お客様の事業価値と社会価値を同時に高めていくことこそが、私たちの使命です。

当社では、建物を使い続ける視点に加え、環境性能向上をセットで考えていただくことを提案しています。私たちが理想とするのは、建物改修の機会があれば、必ず環境性能を意識した設計・計画を行うことが「当たり前」になる文化を築くことです。

「老朽化したから直す」という受動的な改修を、未来への能動的な投資へと変えていく。その積み重ねがイノベーションを加速させ、事業の継続性や働く人々の価値向上、ひいては企業の持続的な成長へとつながると確信しています。

NTTファシリティーズは、FACILITIES ZEBの拡大を通じて、これまで通信インフラを支え続けてきた豊富な人材と専門性を結集し、先導的取り組みを続けることで、企業の成長と社会貢献が両立するサステナブルな未来を切り拓いていきます。


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